■
視点を変えよう |
キノコのカサを下から見上げたり、カビを拡大したり、万華鏡で覗いたり… 見方を変えることで、新鮮な驚きとともに自然に対する尊敬の気持ちが生まれ、彼らの本当の姿が見えてきます。 |
|
ラッシタケの仲間を上からと下から見る。見方を変えることで世界が変わり、考えも変わる。 |
|
|
|
|
|
クワの葉裏の裏うどんこ病と、うどんこ病菌の拡大。
成熟すると毛のような腕を伸ばして宙に浮き、飛散する。 |
|
|
|
|
|
モチの表面に生えた色とりどりの様々なカビを、万華鏡を使って写した。 |
|
|
|
ページトップに戻る↑ |
|
■
腐生菌 |
自然界での菌類は、分解者としての役割が知られています。
落ち葉や倒木を分解するキノコはよく知られています。ほかにも動物の毛や羽、爪などを分解するホネタケなどもあり、枯れ木に生えるキノコの多く(白腐れ菌)はダイオキシンを分解することがわかっています。
|
|
|
落ち葉を分解するキノコ。白くなっているのは前年の落ち葉の層で、分解が進んでいるのがわかる。 |
|
|
|
倒木に生えたヒメカバイロタケ。分解が進んで、新しくヒノキが芽生えている。 |
|
|
|
|
←
鳥の死骸に生えたホネタケ。
ケラチン分解菌。 |
|
|
→ |
ウスキイロカワタケ。
このキノコではじめてダイオキシン分解能が解明された。 |
|
|
|
|
|
|
猛毒でさえ分解してしまう彼らがいるからこそ、われわれが安心して暮らしていける。ということですね。
キノコというと食べられるかどうかしか興味のない人が多いですが、それはとても悲しいことだと思っています。 |
|
|
■
寄生菌 |
昆虫に寄生する菌として、冬虫夏草のセミタケと、蛹に生えるサナギタケを紹介しましょう。
彼ら寄生菌は、自然界で増えすぎた虫を殺してバランスを取り戻すという役割があります。 |
|
|
冬虫夏草の代表格、セミタケ。 |
|
|
|
ガの蛹に寄生したサナギタケ。 |
|
|
|
|
■
寄生菌 |
昆虫に寄生する菌として、冬虫夏草のセミタケと、蛹に生えるサナギタケを紹介しましょう。
彼ら寄生菌は、自然界で増えすぎた虫を殺してバランスを取り戻すという役割があります。 |
|
|
|
|
■
糞生菌 |
|
|
鹿の糞に生えたミズタマカビ。
糞生菌は美しい姿のものが多く、糞生菌の研究者もなぜか美しい女性であることが多いとか… |
|
|
いよいよ糞生菌です。
糞生菌は、動物の排泄物である糞を分解し、次世代の生き物への贈り物として循環させます。次の写真はその循環のようすが一枚に映されています。私の訴えたいことのすべてがこの一枚に表現された
“私の最高傑作”だと考えています。 |
|
● 糞を分解するツヤマグソタケ
↓
● それによって繁茂する牧草
↓
● 牧草を食べて糞をする馬
↓
● 糞を分解する……
↓
という循環です。
そしてこの循環の要にあるのが、実は糞なのです。 |
|
|
|
|
|
|
■
ノグソのこと |
かつて、私の住む近所で屎尿処理場建設の話が持ち上がったことがあります。住民はそのとき反対運動を起こしましたが、私は違和感を覚えました。食べてウンコをしておきながら、自分の家の近くにそんなものができては困るというのは勝手過ぎないか、ということです。 |
|
(講演に熱が入ってきて、しばしばお茶でのどを潤す伊沢先生) |
|
私は自分の生きること、つまり食べて排泄することに責任を持ちたいと考え、1974年の1月からノグソをはじめました。自然界の循環の中に身をおきたい、食べるだけでなく自然にお返しをさせていただく、という考えです。それから38年間、旅行中なども含めほぼ全部のウンコをノグソで処理しています。ちなみに今年(2012年)の5月にノグソの総数は12,000回になります。
ノグソについては『伊沢流インド式野糞法』というのを確立しています。 |
|
『場所選び、穴掘り、葉で拭き、水仕上げ、埋めて目印、年に一回』 |
|
というものですが、ノグソの話は本題からそれるので、今日はやめておきます。 |
|
|
|
■
ウンコの分解過程 |
ウンコが土の中でどのように分解されるのか、ノグソ跡を掘り返して確かめました。 |
|
|
|
《レポーター注》
講習では伊沢先生の渾身の写真で詳しく紹介されたのですが、HPは不特定多数の方々がご覧になるので、ほんの一部のみを抜粋させていただきました。ご了承ください。 |
|
|
|
■
まとめ |
ウンコの分解過程をまとめると図のようになります。 |
|
分解されることで、新しい生命が生まれ、循環していることがわかります。 |
|
|
|
|
自然界全体で見てみましょう。
われわれ動物の排泄物はウンコですが、植物の排泄物=ウンコは酸素であるといえるでしょう。
生態系の中でさまざまな生物が食とウンコで循環しているんですね。 |
|
|
|
|
……………………………………………………… |
熱のこもった講演で、質疑応答も活発にかわされました。
今回紹介させていただいた写真は、すべて伊沢先生にご提供いただきました。被写体のウンコはもちろんご本人のものです。
休憩時間には尻拭き用の『葉っぱ』が紹介されました。紙は漂白の薬品のためか、自然界ではなかなか分解されないため、伊沢流インド式野糞法では葉っぱと水を使用します。
参加者のみなさんも、紹介された葉っぱ(未使用!)を手で触って、尻ざわりを想像していました。 |
|
|
|
ノグソに関して興味のある方、極めたい方は次をご覧ください。
『糞土研究会 ノグソフィア』
http://nogusophia.com/
伊沢先生の運営されるサイトです。 |
|
|
■
さいごに |
今回伊沢先生の用意された写真で、あまりに刺激の強い生のウンコのカットはあらかじめ削除させていただきました。伊沢先生には申し訳ありませんでした。
『生態系の命をつなぐ菌類』というメインテーマから少しはずれることと、参加いただいた方の中には不快な思いをする方がおられるかもしれないという理由です。前述の糞土研究会など別の講演会では、それらの刺激的な写真も紹介いただけると思いますので、ぜひどうぞ。 |
|
余談ですが…
伊沢先生は証拠として信頼できるフィルム撮影しかしません。今回用意いただいた100カット近い素晴らしい写真は、すべてポジフィルムです。そのため今回、専門の業者に頼んでスキャニングし、上映用のデジタルデータにさせていただきました。
業者へ依頼の際には “高名な写真家のオリジナルフィルムだから、仕上がりの品質と取り扱いはくれぐれも慎重に”
とお願いしました。担当オペレーターはピントや色の再現性など細心の注意でチェックしてくれたのでしょう。仕上がりはばっちりでした。
スキャニング作業は慎重に進み、美しいキノコやカビから、やがてキケンなニオイのする写真になっていきます。そして講習会では紹介できなかった生ウンコの写真が… おそらく超高性能・大画面のモニターいっぱいに広がっていたことでしょう。
オペレーターさん、申し訳ありません。警告なしで危険物の取り扱いをお願いしてしまいました。 |
|
|
以上報告:自然観察大学
事務局O |