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                                  | 原色川虫図鑑 成虫編
 
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                                  | 丸山博紀・花田聡子/編
 全国農村教育協会
 2016年11月25日発行
 A5判、488ページ
 本体6,000円+税
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                                  | 原色川虫図鑑 幼虫編 (「原色川虫図鑑」を改題)
 
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                                  | 谷田一三/監修
 丸山博紀・高井幹夫/著
 全国農村教育協会
 初版2000年7月28日発行
 A5判、248ページ
 本体3,800円+税
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                      | 川虫の調査研究に福音 | 
                     
                      | 私は学生時代に昆虫発生学の研究室に所属していた。研究室のボスは、トンボの研究で世界的に有名な安藤裕先生だった。 私はシリアゲムシを材料に選んだが、私の周りにいた後輩たちの中には、カゲロウ・カワゲラ・トビケラといった、いわゆる川虫を研究材料にした学生もいた。そんな後輩に頼まれて、材料採りに私のポンコツ車をよく出したことを覚えている。
 そのようなこともあって、専門外ではあるが川虫の面白さに興味を持つようにもなった。
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                      | 当時(40年も前の1970年代)、川虫の分類に関してほとんど素人の我々にとって、研究材料の名前を調べるための頼みの綱は、もっぱら「水生昆虫学」、「日本幼虫図鑑」と「原色昆虫大図鑑」(いずれも北隆館)であった。 とはいうものの、前2冊に載っている川虫の種数はさほど多くなく、また成虫の名前を調べようにも、「昆虫大図鑑」の標本写真や解説文だけでは、なかなか同定できなかった。
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                      | 歳月は流れて40年後の今年(2016年)、全国農村教育協会から「原色川虫図鑑 
                        成虫編」(丸山博紀・花田聡子編)が出版された。 2000年に同社から出版された「原色川虫図鑑 幼虫編」(谷田一三監修、丸山博紀・高井幹夫著)も、カゲロウ・カワゲラ・トビケラ幼虫の合計125種を写真と図版で詳細に解説した、川虫屋必携の図鑑であるが、今回出版された「成虫編」は、掲載種数も「幼虫編」の倍以上、349種となった。
 美しい生態写真と図版、さらに採集方法や標本作成法なども載っており、非常に充実した内容となっている。特に、随所に用意された検索表や識別ポイントの図版は、種名にたどり着くための心強い味方である。
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                      | 日本人のトンボ好きから、本邦産のトンボ、約190種をすべて網羅する幼虫・成虫図鑑は複数存在する。しかしご存知のように、水生昆虫はトンボだけではない。 我が国に生息するカゲロウ・カワゲラ・トビケラの合計は、トンボをはるかにしのぐ700種以上であり、それらの主要な種を中心に半数近くをカバーする「原色川虫図鑑 
                        成虫編」は、専門家はもちろん、自然愛好家や環境調査に携わる方々にとって、まさに福音といえよう。
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                      | 最後に、昔話を一つ。 ある日、トビケラの幼虫を飼育していた後輩が、「マキシマトビケラが、ムラサキトビケラになった!!」と、訳のわからないことをいいながら研究室に飛び込んで来た。40年前の幼虫図鑑には、大型種であるマキシマトビケラは、「成虫との関係がまだついていない」とされていた。そのマキシマトビケラが羽化したら、世界最大級のムラサキトビケラになったのだから、後輩が興奮するのも無理はない。
 あれから40年たった現在でも、川虫の生活史や生態については、まだまだ分からないことが多い。そんな川虫に興味をお持ちの方には、既刊「幼虫編」と新刊「成虫編」は絶対お勧めの1冊、いや2冊である。
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                      | 自然観察大学講師 鈴木信夫 | 
                    
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