雄株がないのに種ができる? −ヤマコウバシ−
12月の室内講習会(2009年度第1回)の際、
「講演とは関係ないのですが…」と、Hさんよりご質問をいただきました。
Hさんのご質問は、ヤマコウバシ(クスノキ科クロモジ属)についてです。
「ヤマコウバシは、雌雄異株で日本に雄株は無いと図鑑にありますが、在来種でそのようなことがあるのでしょうか? また、果実も種も観察できるのですが、どのように理解したら良いのでしょうか?」
次の2月の講習会(2010年度第1回)での岩瀬先生からのご返事です。
「質問を受け、私も疑問を感じ手元の図鑑類を見直しましたが、どれも書いてあることはHさんの言われているとおりでした。これは基本になった本があり、その記述にそっているのだと思います。
千葉の博物館の研究員にも尋ねてみましたが、今のところはっきりしたことはわかりませんでした。ひょっとすると、両性花ではないかと考えられますが、実際に観察しないと何ともいえません。この春に観察し確かめたいと思います。他の人にも観察してもらい、その上でまたお答えしたいと思います。」
謎が深まるHさんの質問ですね。
岩瀬先生は最後に「このような課題を提起していただいたことに自然観察大学として感謝しております。また不思議に思っていることがありましたらお知らせ下さい。」とのお礼でしめくくられました。
 
ヤマコウバシクスノキ科クロモジ属
山地に生育し、高さ2〜7mになる。花期は4〜5月。果実は直径約7mmの球形で、10〜11月に黒く熟す。葉は、枯れた後も落葉せずに翌春まで枝に留まる。 “落ちない”ので近年、受験生に人気だとか。
(出典:日本山野草・樹木生態図鑑 / 監修 沼田真 全国農村教育協会)
その後、飯島先生からもいろいろと情報をいただきました。どうやらヤマコウバシはおもしろい性質を持つようなのですが、
「花の観察は、きちんとされていないようです。」
春を待ち、皆さんの観察結果と合わせて、飯島先生からの情報もご紹介させていただきたいと思います。よろしければHさんも観察結果をお知らせ下さいね。