2012年4月7日(土)に、丸の内さえずり館が主催するフィールドイベントが開催されました。自然観察大学から岩瀬先生が講師として協力させていただきました。当日の写真とともに、観察会の様子を報告させていただきます。 |
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スタートの前に、岩瀬先生より「雑草」という言葉についてのお話がありました。
「雑」という字は本来は「雜」で、『いろいろな衣』という意味の「襍」から来たものであり、もともと「悪い」「邪魔な」といった意味があるわけではないそうです。
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大手門からスタートし、しばらくは内堀通りに沿って歩きながら植えマスの雑草を観察しました。 |
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植え込みの雑草を観察する岩瀬先生と参加者の皆さん |
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皆さんが熱心に観察しているのは帰化種のイヌコハコベ。もとからあったコハコベと同じところに生えていますが、花弁をつけないこと、がく片の基部に紅紫色の斑紋があることなどで見分けられるそうです。
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立派なつぼみをつけているのはナガミヒナゲシ。1960年ごろの渡来と考えられている帰化植物ですが、近年植えマスの中でもよく目立ちます。
ヒナゲシ(ポピー)そっくりの花を咲かせるため、参加者の皆さんから「園芸種だと思っていた」という声が多く聞かれました。
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ナガミヒナゲシのつぼみ |
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植えマスからはみ出て、タイルの隙間に茎を伸ばしているのはマメカミツレ。小さいながらもちょっとした隙間に生えるしたたかな雑草です。ここ10年ほどで増えてきたといいます。
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マメカミツレと内堀通り |
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内堀通りを離れ、清水濠を渡って北の丸公園へと進んでいきます。この辺りより植えマスから桜並木の植え込みに変わり、雑草の種類も多くなってきました。
参加者の皆さんの興味を強く引いていたのが先生が野草の範囲に入れているヒメウズ。ウズとはトリカブトの意味で、同じキンポウゲ科でありよく似た葉をつけています。今月の自然観察大学ブログでも報告されており、白い可憐な花に惹かれてファンになる人もいます。 |
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自然観察大学ブログ→→http://sizenkan.exblog.jp/15701033/ |
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後半の主役となったのは2種のタンポポ。先ほどまでの植えマスにおいてはほとんど全てがセイヨウタンポポでしたが、土手の法面にはカントウタンポポも多く、ほぼすべての個体がカントウタンポポという場所もいくつかありました。
それについて岩瀬先生は、皇居沿いという環境のおかげで人の手があまり入っておらず、在来のカントウタンポポが優占的に生えているのだろうと説明されました。
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総苞外片が反り返らない典型的なカントウタンポポと、観察する参加者の皆さん
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今回観察したコースは1.5kmほどの距離でしたが、数多くの雑草を観察することができました。頻繁に人の手が入る植えマス、古くからの野草も生えている植え込みなど、条件が少し変わるだけで植生が大きく変わってしまうことに驚かされました。 |
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満開の桜が咲く中「下ばかり見ている」集団はとても目立ち、花見客に不思議がられながらの観察会となりましたが、参加者の皆さんから次回の開催を希望する声が出るほどの、とても魅力的なフィールドイベントとなりました。
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報告:自然観察大学事務局 脇本 |