湿地の中では鮮やかな黄色いキショウブが目立ちます。移入種であるキショウブは公園が作られた後で植えたものだそうです。これにひっきりなしにセイヨウミツバチが飛んできて、花の中に潜っていきます。ミツバチは花に潜り込んで奥にある蜜を集めているのですが、本来はキショウブの花粉を媒介するのはマルハナバチで、キショウブの花はマルハナバチが雄しべの下をすり抜けする時、背中に付けるしかけを持っています。一方、花柱の先端の柱頭が雄しべを覆っているため、ハチが帰っていく際にはマルハナバチに付いた花粉は柱頭に付くことはなく、他の花から花粉を持ってきた場合のみ、柱頭に触れる構造をしています。しかし、体の小さなセイヨウミツバチは花粉を付けられることなく蜜だけをもらっていってしまいます。
湿地にハンノキが生えています。この木は湿地を好むことで知られています。この公園では周辺の民家の目隠しに植えられたとのことですが、この環境にしっかりと定着しています。枝先には、前年の果実が残っていました。果実からこぼれた種子はとても軽く、水の流れに乗って下流方向に種子散布されます。水中という特殊な環境を生かした巧みな種子散布といえます。