自然観察大学の野外観察会場になっている千葉県我孫子市の岡発戸・都部谷津など、千葉県の谷津には数多くのカエルが生息しています。
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特によく見かけるものはアカガエル、アマガエル、そしてトウキョウダルマガエルです。
カエルは水辺や陸、水中などいろいろな場所に生息していますが、産卵場所はいずれも水辺です。
一番身近に見られるアマガエルは、足の指に吸盤があり、木に登ることができます。しかし、大半のカエルには吸盤がありません。彼らには面白い特徴があり、なんとお腹から水を飲むことができます。飲んだ水は膀胱にためておくことができます。 |
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トウキョウダルマガエル(浅間茂) |
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トウキョウダルマガエルは水辺に見られるカエルで、水田や周辺の用水路に生息し、産卵はおもに水田で行います。
このトウキョウダルマガエルが観察できる水田が年々減ってきています。
稲刈りと同時に、隠れ場を失ったカエルを狙ってサギなどの鳥が集まってきます。カエルはすばやく水田から用水路に移動します。トウキョウダルマガエルの足には吸盤がなく、壁面がコンクリートの用水路では飛び込んだら、上に這い上がることができません。そのため、土水路がないと彼らは生き延びることができないのです。
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他には、ヒキガエルもよく観察されます。
彼らの行動で有名なのが、春先に見られる生殖活動「ガマ合戦」です。このときの雄雌比を観測したところ、多くの場合〈雄:雌=3:1〉となっていました。ヒキガエルの雄は1〜2年で成体になるのに対し、雌は3年ほどかかること、また雌は産卵すればその場から離れますが、雄は一週間くらいその場にいることがその要因と思われます。
ガマ合戦の時の雄ガエルは必死で雌を捕まえます。その抱える力はとても強く、間違えてウシガエルの雌に抱きついた場合、ウシガエルは声もだせず、圧死してしまいます。
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ガマ合戦のようす(浅間茂) |
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谷津田にはシュレーゲルアオガエルも生息しています。
一般的にアオガエル類は、木の上に泡で包まれた卵を産むのですが、シュレーゲルアオガエルは特異的に、水田の畔に穴を利用してそこに産卵します。
また普通、カエルの卵は紫外線から保護するためメラニン色素によって黒い色がついていますが、アオガエル類は卵を泡で包んで保護しているので卵の色は薄い黄色みがかった白色です。
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モリアオガエル(阿部さと子) |
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さて、私はよくボルネオ島に生物観察に行きます。
日本の2倍の広さをもつボルネオではなんと148種類ものカエルが確認されており、またそのうち89種類は固有種です。
動物学者ウォーレスが名付けた有名なカエルで、ウォーレストビガエルという「空飛ぶカエル」がいます。飛ぶといっても、水かきを広げて滑空するといった程度で、落下に近いものです。高木の間を移動するために、トビガエルの仲間は指の間に皮膜が発達したのでしょう。
またアジアミドリガエルという、トウキョウダルマガエルに似ているカエルが現地の水田で観察できました。 |
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アシナシイモリの一種(浅間茂) |
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カエルではないのですが、アシナシイモリという変わった両生類を観察することもできました。彼らは足を持たず、見た感じはミミズのようですが、眼を持っています。
両生類は有尾目(サンショウウオ類)、無尾目(カエル類)、それとこのアシナシイモリ目の3つに大きく分類することができます。このアシナシイモリは熱帯雨林でしか見られません。
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